2023年10月7日(日)。3連休の中日であるこの日、念願のドメーヌタカヒコの収穫ボランティアに参加してきました。
この記事では、朝、余市へ向かうところから当日の収穫ボランティアの活動内容、解散後までの1日の流れをご紹介します。
持ち物やかかった費用に関してなど、旅の記録は別の記事にアップしておりますので、この記事の最後に掲載しているリンクをご覧ください。
6:30起床、札幌から余市へ車で移動
余市のドメーヌタカヒコまでは札幌市内から電車で行くと2〜3時間かかるようなのですが、車でなら高速に乗って1時間程度です。今回、私は札幌在住の友人の厚意に甘えて友人の車に乗せてもらうことになっていたため、余市に前泊する必要もなく、札幌でゆっくり過ごすことができました。
朝食はホテルのビュッフェもありましたが、軽く済ませたかったのでホテルから徒歩1分のところにあるセイコーマートにて購入。朝6時からやっているようでした。24時間営業じゃないんですね。危ない危ない…
余談ですが、レジ袋を無料で付けてもらえたことに驚きました。
7:40頃にホテル前に友人が迎えに来てくれて、余市にいざ出発!
8:40頃に余市駅前で友人の友人をピックアップして、8:50頃にドメーヌタカヒコに着きました。
ワイナリーに入る道はやや急な勾配の坂で、もちろん道は舗装されていません。来年は娘も一緒に連れて来ようかと思っていたのですが、この坂はベビーカーでは登れないなと思いました。(いずれにせよそうなればタクシーで行きますけどね)
ワイナリー前にはすでに大勢のボランティアの方が集合していました。およそ30〜40名ほどだったのではないかと思います。男女比は6:4くらいで男性がやや多いかなという印象でしたが、女性の参加者の方も多かったです。私のように初参加の方もいらっしゃれば常連の方もいらっしゃり、また、北海道、東京、大阪、愛知など各地から集まっているようでした。ご家族連れの方も2、3組ほどいらっしゃり、一番小さいお子様は2歳とのことでした。
到着後はまず、ベースの服装の上にゴアテックスの上下ウインドブレーカーを重ね着し、長靴を着用します。この日は比較的暖かかったのでズボンは重ね着しなくても良さそうだったのですが、泥がつくので履いておいてよかったです。
着替え後、昼食代の1,500円を支払って受付をしました。
受付で収穫の説明書をもらい、テイスティンググラスも受け取りました。
この流れはもしや・・・・
やったー!
さっそく試飲をしながら、タカヒコさんから収穫の説明を聞きます。
「青い実があったら除いてください」と言われたのですが、果皮の色が黒いものと青いものの違いがわからない…と内心ドキドキしていました。後で畑に出てからわかったのですが、「青い」=「若い」=「黄緑色」ということでした!そりゃそうだ!!
陽の当たりにくい房の中央部などに黄緑色の果皮の粒が紛れていることがありました。
15分ほどで一通り説明を受けて、いよいよ畑に入って収穫作業が始まります。
実際に作業をしてみて、ドメーヌタカヒコでの収穫の特徴だと個人的に思ったのは次の点です。
特徴1:貴腐果を分ける
長野でワイナリー訪問をする際にはそう多く見なかった貴腐菌のついたブドウ。貴腐菌がつくにはいくつかの条件が揃う必要があり、ここ余市(もしくはドメーヌタカヒコの畑)はその条件が揃う稀な土地のようです。
ちなみに貴腐の果粒はこんな感じで、一見するとただのカビ。とても美味しそうには見えません。。
でも、実はこの貴腐菌がついている果粒の果汁は非常に凝縮されていて風味が豊かで糖度も高く、素晴らしいワインになるんです。もう少し具体的に言えば、貴腐菌がごくごく小さな穴を果皮に開けることで、その穴から内部の水分が蒸発し、果汁の濃度が濃くなって凝縮することでこの現象が起きるのです。
ドメーヌタカヒコの畑ではしばしば貴腐菌を見つけることができました。この貴腐菌のついた果粒や果房は黄色いコンテナに分けて収穫します。
特徴2:ありのままの姿の健全果
前日に訪れた平川ワイナリーでは手除梗(手作業でブドウの粒を果梗から取り外す作業)を行いました。この手除梗の中で、同時に選果(”不要”な粒を取り除くこと)を行いました。
平川さんの”不要”ジャッジ基準はなかなかにシビアで、こんなに取り除いてしまって収量的には大丈夫なのかなと素人ながらに不安に思うほどでした。
一方のドメーヌタカヒコでは、酢酸臭(酸っぱいにおい)が出ているような明らかに不良な果粒以外は、干しブドウ化しているものの一部も水分に満ちたものも、大きいものも小さいものも、健全果のコンテナにバンバン入れていきます。
迷ったら鼻を近づけて匂いを確認します。
タカヒコさんいわく、この果粒の状態のバリエーションがワインの複雑性に繋がっているんだそうです。
ちなみに不良果は樹の状態がよくないところに出やすいそうで、高松さん(世界最年少でマスターソムリエを取得・現在ドメーヌタカヒコで研修中)いわく「トラ模様」の樹は要注意とのことです。
特徴3:虫との遭遇率の高さ
前日の豪雨から一転しての晴天、というのもあるかもしれませんが、とにかく虫が出てくる出てくる。房の周辺や果粒の合間にいるものの97%がワラジムシで、たまに蜘蛛がいたなという感じです。虫はなるべく取り除かなければならないのですが、ワラジムシの数が半端ではなくて・・・すみません、一部諦めてしまいました。(本当にごめんなさい)
ドメーヌタカヒコの畑は基本的に農薬を使わないですし、雑草もあまり刈っていません。
これによって生物多様性が確保でき、土壌の状態が良くなり、ブドウ樹の健全な成長に繋がるということなんだそうです。
そもそも自然のものなので、ある程度の虫との遭遇は仕方ないですね。私も見慣れてしまって、ワラジムシが歩いた後の果粒でもチェックのために普通に食べていました。(改めて文字に起こすと、ちょっぴりゾッとしますが・・・)
ただ、毎年参加している友人は「こんなにワラジムシが多いのは初めて」と言っていたので、やはり前日の豪雨の影響が大きいのかもしれません。
追記:X(旧Twitter)でワラジムシは益虫のようだということを教えていただきました。こちらのサイトによると、落ち葉や朽ちた木などを食べて豊かな土づくりに貢献している益虫とのことなので、土壌を大切にされているタカヒコさんの畑には必要な存在なのでしょうね。
午前中は10時頃に一度、15分程度の一斉の休憩時間が設けられました。
お菓子やソフトドリンクが用意されていて、それをいただきながらタカヒコさんのお話しを聞くことができます。
休憩後、また1時間ほど収穫作業を行い、12時頃には昼食休憩が入りました。
とにかく楽しい昼食タイム
お弁当は毎年、ワイナリーのすぐ隣にあるイタリアン・オーベルジュのSagra(サグラ)のものでした。
しかし、なんと!今年からは別のお弁当に変わってしまいました。
前日に友人から聞いてしょんぼり。。
・・・と思いきや!
やはりこの収穫ボランティア向けに作られたお弁当なのでしょう、どう考えてもワインに合わないはずがない!!!!!!というおかずのラインナップです。
こちらのお弁当は、同じく余市町にあるかくと徳島屋旅館さんのものだそうです。
地元の食材をふんだんに使ったメニューの数々。個人的に感動したのは出汁巻き玉子のふんわり加減です。お麩かと思うほど柔らかくて、溶けていくようになくなってしまいました。
ハンバーグも肉感たっぷりで贅沢。トリュフ塩はたっぷりあって余るので、持ち帰るのもおすすめ。(直箸しないように注意&小さいジッパーバッグなどがあると持ち運びも安心です)
そしてお昼休憩と同時に、有料試飲も始まります!!
20ml 100円でドメーヌタカヒコのワインを飲むことができます。一種類につき40mlまで注文可能でした。
日によっても異なるようですが、今回の有料試飲のラインナップはこちら。
最初は3〜4本でしたが、どんどんなくなるので後から新しい種類が出てきました。
私はSagra Rose(サグラ ロゼ):サグラさん用のロゼワイン、Yoichi-Blanc(ヨイチ-ブラン):高松さんが造ったシャルドネの白ワイン、Yoichi-Nobori O-Lie(ヨイチ-ノボリ オーリー):ヨイチ-ノボリの澱の部分を抽出した赤ワイン の3種類を各40mlずついただきました。
高松さんにシャルドネの醸造についてご質問したのですが、こちらがファーストヴィンテージのため、まずはタカヒコさんのやり方に倣って造ったとのこと。醸し期間が長く、一ヶ月ほどだそうです。どうりで色調が濃いわけですね。
また、食事を終えた後は、できたばかりだという見晴台に行って記念撮影などを楽しみました。
試飲にお弁当、畑の散策や記念撮影などを十分に楽しんだ後、13時過ぎからまた作業を再開です!
14:30頃 作業終了
予定していた箇所の収穫が無事に終わり、目標としていた15時より少し早く収穫作業が終わりました。
作業後は醸造所に集い、タカヒコさんからワイナリーの思想や畑のこと、醸造についてなどをたっぷり聞くことができました。
ただ、30分ほど立ちっぱなしになるので腰がちょっと痛かったです。
タカヒコさんから伺ったお話の内容についてはまた別途、記事にしていく予定です。
また、最後にもう一杯、試飲させていただくことができました。
解散後
予定より少し早い16時前には完全に解散となりました。タクシーで余市駅に戻る方はその場で挙手し、必要台数をタカヒコさん自らつばめタクシーさんに電話して手配してくださりました。
私は友人の厚意に甘えて余市駅を挟んで反対側にあるイオン 余市店に寄り、お土産を購入。
道民なら家庭に1本はあるというベルのジンギスカン用のタレ(羊肉ではなく豚肉や牛肉に使う予定)、ナイアガラのブドウ(頻繁に訪問している長野でも愛されているブドウ品種。食べ比べてみたくて購入)、筋子といくらのタレを購入しました。
友人に教えていただいて初めて知ったのですが、道民の方は筋子を買って、自分好みの味付けでいくらの漬けを作っているそうです。いわば「家庭の味」があるのだそう。
生の筋子がスーパーに並ぶのは9月頃からで、その様子を見ると「今年もこの季節が来た」と実感する季節の風物詩になっているのだとか。そういう、季節を感じられる物事やライフスタイルってとっても素敵ですよね。
自宅に帰ってから筋子の処理に頭を悩ませる様子は目に浮かびましたが、家族に何かお土産を買いたかったこと、何より私の大好物だったこともありつい購入してしまいました。
17:22 札幌駅発のエアポートライナーで帰途
帰りも友人の車で送ってもらい、運良くちょうど良い時間帯のエアポートライナーに乗れそうだったので(駅前からかなりダッシュしましたが)、札幌駅まで送っていただいてその日のうちに東京に帰りました。
18:10頃に新千歳空港に到着したので、20:05発のフライトまでの間、お土産屋さんでのお買い物や北海道での最後の食事を楽しみました。
空港での過ごし方は、また別途記事に掲載いたします。
そんなこんなで、非常に充実した1日となりました!
持ち物に関してなど、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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