塩尻での収穫作業に土日の2日間連続で参加するのには理由があります。
1つ目は、新宿ー塩尻間のあずさでの移動で電車酔いしてしまうため。酔いから回復するのに3時間以上かかるので、10時半に塩尻に着いて、やっと酔いから回復した夕方頃にまた新宿に向けてあずさに揺られなければなりません。
2つ目は、一泊して松本のお店に行きたいから。実は松本にはワインを楽しめるお店がいくつもあるんです。
今回私がお邪魔したのはPARCO裏にあるイタリアンレストランCOURTYARD (コートヤード)です。
実はこのお店の代表を務められている西澤さんとはWSET L3の短期集中クラスのクラスメイト。短期集中クラスは15名ほどと少ない人数だったこともありお互いによく顔を覚えていたため、西澤さんとも以来親しくさせていただいておりました。
以前(おそらく2022年の春頃)に伺って以来2度目の訪問です。
お店の外観はお花屋さんかカフェかと思うほど可愛らしく清廉ですが、ワインは西澤さんが目利きしたナチュラルワインがずらりと揃っており、本格的です。
普段はあまり好んでナチュラルワインを飲む方ではありませんが、西澤さんのチョイスに信頼を置いているのでここではお任せで色々と飲むことにしています。
BLANC BRUT NATURE (CLOS LENTISCUS)
乾杯はやはりスパークリングワインで決まりです。スペイン カタルーニャ地方 ペネデスのワイナリー CLOS LENTISCUS(クロス・レンティスクス)のBLANC BRUT NATUREを出していただきました。
レコルタン・マニピュランのワイナリーで、ブドウ栽培から醸造までを一貫して自社で行っている造り手です。
カタルーニャ地方のスパークリングワインといえばカバですね。
カバの生産者は約280社あると言われていて、そのうちクロス・レンティスクスと同じレコルタン・マニピュランの形を取っているワイナリーは1割(約30社)に留まります。
カバといえば手頃で美味しいというイメージで、大量生産されているのも特徴です。
しかしレコルタン・マニピュランの形ですと生産量が限られてきます。
つまり、誤解を恐れずに言えばカバの生産者の中では珍しく「量より質」にこだわっている生産者といえるでしょう。彼ら自身、「これはカバではない」と言っているそうです。
実際に飲んでみると本当にその通り!
きめ細やかで優しい滑らかな泡、しっかりとした色調を裏切らない豊潤な果実味(熟した黄桃やトロピカルフルーツ、オレンジの花など)と香りが感じられます。
私がカバによく感じる独特のラバー香(私はこれが少し苦手なんです…)は全くと言っていいほど感じません。
セパージュはチャレッロ 75 %、マルバシア・デ・ シッチェス 25%。チャレッロがラバー香の要因だと考えていましたが、このスパークリングワインはまさにそのチャレッロが主体で驚きです。
醸造はステンレスタンクで一次発酵。野生酵母のみ。
瓶内二次発酵(野生酵母)20か月。
ドサージュなし。
全キュベ、全行程において一切SO2添加なし。
これぞ、ザ・ナチュラルワインという造りですが、ナチュラルワインに時折感じる野暮ったさは全くありません。自信を持っておすすめできる一本です。
お食事の最初にいただいたのはフライドポテト(アンチョビバター)と前菜の盛り合わせ(オリーブ、キャベツ、サーモンのミキュイ、生ハム、トマトとブドウのカプレーゼ)です。
Chablis 1er Cru Montmains (Moreau Naudet)
ワイン好きが3人集まれば、やっぱりワインはボトルで注文しちゃいますよね。キリッと系でとお願いして、選んでいただいたのはモロー・ノーデ シャブリ 1er モンマンです。
シャブリのプルミエ・クリュは数年前にVaillon バイヨンの畑のものを飲んで以来、好きなワイン産地のひとつです。村名のシャブリより凝縮感があり複雑性も楽しめます。
モロー・ノーデは17世紀から続く家族経営のドメーヌ。ステファン・モロー・ノーデがドメーヌを引き継いで以降、品質が急激に向上し、シャブリの「ニュージェネレーション御三家」として、アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムール、パトリック・ピウズと共に、圧倒的な高い評価を得ています。
他の区画に比べて冷涼であるモンマンの畑のブドウは、ゆっくりと時間をかけて熟します。冷涼気候らしく美しい酸を保持し、熟成能力にも長けているのが特徴です。
柑橘類や白桃、花のアロマに、火打ち石を思わせるミネラルが層となった複雑な香り。抜栓直後から驚くほど柔らかく、非常に軽やかでエアリーな印象でありながら、濃密さと溢れ出るようなパワーが感じられます。
https://www.winegrocery.com/c/1358/1365/1383/naudet/01759
こちらのサイトに書いてあるとおり、複雑性を帯びたエレガントさが非常に印象的ながら、端正な佇まいの力強さが感じられます。まるで私の大好きな北川景子さまのよう…
ご一緒したお二人もおいしい、おいしいと、口を揃えて言っていました。
もう一本買って帰りたいと思ったくらい私も気に入りました。こんなに好みのワインは久しぶりかも。
続いてのお食事はヤングコーンのフリットとマルゲリータピザです。
ヤングコーンが特に美味しい!サクサクの食感とじゅわっと広がるヤングコーンの甘さのバランスが絶妙でした。
matha rouge (Weingut Martin & Anna Arndorfer)
最後は赤ワインです。赤ワインは3本ほど提案していただいた中から選びました。
西澤さんが定番で推しているというガメイも気になったし、フィリップ・パカレのコルナスも捨てがたかった。
でも、今回私の心をときめかせたのはこちら。オーストリア カンプタールのワイナリーを構えるマーティン&アナ アンドルファーのマータ ルージュです。
実は最近、どんどんオーストリアのワインに魅了されつつあります。特にグリューナー・フェルトリーナーから造る白ワインがお気に入り。
一方で赤ワインに関してはまだオーストリアで心ときめく一本に出会っていない…というか、そもそも飲む機会がなかなかありませんでした。西澤さんの「最近のイチオシ」という一言にも背中を押されてこちらを選びました。
飲んでみるとほんのりと舌をピリピリさせる微発泡が残っています。ヴィンテージを確認しませんでしたが若い現行ヴィンテージのものだったのかと思います。
生き生きとしたサワーチェリー、ラズベリー、クランベリーなどの酸味のある赤いこぶりな果実の印象が主体です。ツヴァイゲルトというとちょっぴりぼんやりした果実味のイメージがありましたが、こちらは緻密で背筋がすっと伸びるような上品さがあります。
ちなみに、ワイン名になっている「マータ」は、当主であるマーティンとアナの3人姉妹の末っ子の名前なのだそうです。
以下は販売店の資料の引用です。
シュトラースはとても特別なマイクロクライメットを持ちます。なぜならシュトラースはドナウ川の平原に最も近い南向きの傾斜地に葡萄畑があるからです。非常に古いボヘミア塊を母岩に持ち、温和なパノニア気候の影響を受け、この特別な土壌と気候のコンビネーションは他に類を見ません。
ツヴァイゲルト/Nesselthal レス&砂利質土壌 標高319メートルの畑 2001年植樹
ソーヴィニョン・ブラン/Steinbuhel 粘土質土壌 標高244メートルの畑 2007年植樹全房のツヴァイゲルトに、破砕したソーヴィニョン・ブランを一緒に18日間天然酵母を用いて自然発酵。古いフレンチ オーク樽で亜硫酸塩を使用せず、6か月熟成。
瓶詰の際に8mg/リットルの亜硫酸をごく少量加えました。 清澄無し、フィルター無し、グラヴィティシステムで醸造。
https://item.rakuten.co.jp/wine-takamura/9120055472391/
お食事は豚のローストとイチジクのソース。
ワイン単体だとかなりチャーミングでしたので人によってはやや物足りない印象かもしれませんが、私はこの軽いお肉料理やイチジクのソースとの相性が抜群に感じました。我ながら、そして偶然ながら、最高のお料理とワインのチョイスをしたぞ!と思いました。
お料理もワインも、どれも本当に最高でした!
土曜日ということもあって店内は大変賑わっていたため、来訪の際は予約をおすすめいたします。
翌日はまた朝から塩尻に戻って収穫のお手伝いをしました。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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